1936年発表の本作品は、17世紀の英国、王政復古の時代を舞台に描いた歴史ミステリ。
この作品の一番の特徴は、実際に起こった殺人事件を扱っていることです。
ただ、エドマンド・ゴドフリー卿と言っても、日本ではあまり知られていないことと思います。
私も、もし著者の作品の愛好家でなければ、本書を気にとめることもなく、生涯知らぬままであったことでしょう。
著者の作品は、密室などの不可能犯罪ミステリの巨匠として、多々作品を読んできましたが、「歴史もの」を読むのは、「ビロードの悪魔」に続いて2冊目です。
正直なところ、本書は、何となく研究論文のような印象があり、二の足を踏んでいたのですが、読んでみると、立派な「本格ミステリ」になっていることに、驚きました。
冒頭に「殺人愛好倶楽部会員のための序章」が掲げられており、本書は、フェル博士のような探偵は登場せず、著者が「会員」である読者に直接語りかけるという体裁をとっています。
そして、そこには、本書は、歴史を記録したものと呼ぶつもりはなく、「事実に基づく推理小説」であると説明されています。
さらに、本格ミステリの原則に従い、「すべての証拠」を事前提示し、ラストで著者が考える真相を推理するというのです。
ミステリ小説としての工夫として、全八章の中間、第四章と第五章の間に、「幕間」があり、12の仮説が提示され、そこまでのストーリーからの推理が記述されています。
12番目の仮説には、犯人の名前がなく、最終章の「結び」で再び12の仮説が検証され、12番目の仮説から導き出される真犯人が提示されます。
まさに、本格ミステリの王道を行く、小説。
英国史に興味があり、本格ミステリも好き、という方には、大いにオススメします。
難しそうな印象や、エドマンド・ゴドフリー卿の知名度の低さから、日本では多くの読者を獲得することは困難でしょうが、個人的には、高評価できるミステリと感じました。
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エドマンド・ゴドフリー卿殺害事件 (創元推理文庫 M カ 1-32) 文庫 – 2007/3/1
- 本の長さ503ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2007/3/1
- ISBN-104488118267
- ISBN-13978-4488118266
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2007/3/1)
- 発売日 : 2007/3/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 503ページ
- ISBN-10 : 4488118267
- ISBN-13 : 978-4488118266
- Amazon 売れ筋ランキング: - 899,186位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2012年11月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2014年2月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
17世紀のイギリスで判事のエドマンド・ゴドフリーという人が殺され・・・というお話。
以前、この小説を読んだ識者が当時の歴史状況が判っていないと通読するのが困難と聞いておりましたが、読んでみたら割とスラスラ読め、とても面白く読めました。さすがカー先生だけあるなと思いました。
注目すべきはノンフィクションなのにフィクションの体裁で書かれていることで、カポーティがこれを読んだかは定かではないですが、あの名著「冷血」の先駆をなしている点だと思います。
その他にも当時のプロテスタントとカトリックの関係など、今からでは想像もつかないような事態だったのも判り、大変興味深かったです。よく調べてあって感心させられます。それもただ調べて列記するだけではなく小説として面白いところにこの作品の真価を見た思いです。
カー先生の歴史好きとミステリ好きが合致した傑作。ノーフォーク「ジョン・ランプリエールの辞書」やバース「酔いどれ草の仲買い人」等を好きな人にはお勧めしておきます。
以前、この小説を読んだ識者が当時の歴史状況が判っていないと通読するのが困難と聞いておりましたが、読んでみたら割とスラスラ読め、とても面白く読めました。さすがカー先生だけあるなと思いました。
注目すべきはノンフィクションなのにフィクションの体裁で書かれていることで、カポーティがこれを読んだかは定かではないですが、あの名著「冷血」の先駆をなしている点だと思います。
その他にも当時のプロテスタントとカトリックの関係など、今からでは想像もつかないような事態だったのも判り、大変興味深かったです。よく調べてあって感心させられます。それもただ調べて列記するだけではなく小説として面白いところにこの作品の真価を見た思いです。
カー先生の歴史好きとミステリ好きが合致した傑作。ノーフォーク「ジョン・ランプリエールの辞書」やバース「酔いどれ草の仲買い人」等を好きな人にはお勧めしておきます。
2004年5月25日に日本でレビュー済み
後にロマンスとミステリを融合させた
歴史推理物でも一時代を築いたディクスン・カーによる
歴史上の事実エドマンド・ゴドフリー卿殺人事件の
再構築。
被害者が馴染みが薄いのが難点ですが
歴史上の事実を見つめなおすカーの手腕が見られます
歴史推理物でも一時代を築いたディクスン・カーによる
歴史上の事実エドマンド・ゴドフリー卿殺人事件の
再構築。
被害者が馴染みが薄いのが難点ですが
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